歩き方の動画で、心不全患者のフレイルを自動計測する

心臓が血液を送るポンプ機能を十分に果たせていない状態を指す。心不全は、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める――心不全患者の約15-50%がフレイル(虚弱)と呼ばれる筋力や心身の活力の低下を合併していると言われていて――

適切な治療には患者のフレイル段階を正しく評価することが重要だが、これまでは医師によってフレイルの程度判定に差が出てしまう課題があったという。インフォコム北海道大学は、共同研究「高齢心不全患者におけるフレイル自動診断を支援する新医療機器プログラムに関する研究開発」において、心不全患者の歩く姿を収めた動画からフレイルを自動計測・判定できる人工知能(AI)アプリを開発した。

AMED「医療機器等研究成果展開事業」の研究費を用いて実施された同研究にて創出された、上記フレイル判定AIアプリは、 歩行様式を撮影した動画を深層学習により解析し、フレイルの定量評価指標を出力するものだという。同社は、同大学からフレイル評価のための撮影プロトコルに基づいた歩行動画と教師データの提供を受け、AIアプリの開発を行った。

心不全患者417名を対象に精度検証を行った結果、極めて高精度な結果が得られ、フレイルを客観的かつ簡便に自動判定する極めて有用なアプリケーションであることが確認された。フレイル判定AIアプリのプログラムを医療機器に実装する。そうすることにより、心不全患者におけるフレイルの早期診断、治療選択、リハビリテーションの効果判定など、様々な臨床応用が期待される。

今後も継続して機械学習を応用したコンテンツ開発を進め、医療におけるDX推進に貢献していくと同社がいう。今回の研究成果は、循環器デジタルヘルス領域の基幹学術誌の一つ、欧州心臓病学会誌"European Heart Journal - Digital Health"に掲載された。