人流データを用いてドローンのレベル4飛行を安全に、医療検体輸送も

トラックドライバーの時間外労働上限規制に係る「2024年問題」が懸念されている。物流業界では、医薬品や検体など納品遅延が致命的となる医療物資の配送時や、渋滞が発生する災害時等における交通状況に左右されない新たな配送手段として、ドローンの利活用に期待が高まっている――

一方、ドローン飛行に関する現行制度では、レベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)は低人口密度環境での飛行のみが認められていて、都市部でレベル4飛行が可能なエリアは極めて限定的だという。KDDIKDDIスマートドローンは今年11月20日~12月4日、「人流データを活用した地上リスク評価」および「ドローンによる検体輸送」の実証実験を実施した。

auスマホ(利用者同意済み)の位置情報を基にした人流データを活用して人通りが少なくリスクの低い飛行ルートを設計・選択し、病院から検査機関までドローンでの検体輸送を行った。ドローンでの検体輸送時に人流データを活用することで、リスクの低い飛行ルートを選択して安全に輸送できることを確認した。今後、同実証実験の結果や病院・検査機関からの評価を基に、社会実装に向けた課題検証を行い、地上リスク低減の仕組みを構築する。

将来的に人口密集環境においてもレベル4飛行を可能とする手法として、制度整備への提言を進めていく。ドローンの社会実装に向けた地域住民の認知獲得および受容性向上にも取り組んでいく。両社は今回、茨城県つくば市の協力のもと、スマホアプリのプッシュ通知などにて、生活圏上空での物流専用ドローン(ACSL社製)飛行及び同計画を地域住民へ事前に知らせる取り組みを行った。

内閣府に採択された「先端的サービスの開発・構築や先端的サービス実装のためのデータ連携等に関する調査事業」の一環として、「スーパーシティ型国家戦略特区」に指定されている同市の協力を得て、今般の実証を実施したという。