国内外80社を含むグループ全体で温室効果ガス排出量を可視化する

温室効果ガス(GHG)は、化石燃料の燃焼、工業プロセスにおける化学反応、あるいはGHGの使用・漏洩などに伴い、大気中に排出される。地球規模で産業を支えるサプライチェーンにおいて、それは、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生する。

サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量だと環境省Webサイトで解説されている。今日、自社グループのGHG排出量のうち、燃料利用などによる直接的な排出を示すScope-1、電力利用などによる間接的な排出であるScope-2のすべてと、事業者の活動に関連する他社の排出であるScope-3の一部のカテゴリーについては既に開示されているが――

Scope-3全体の適切な集計境界の設定、算出方法については確立されておらず、2050年ネットゼロエミッションに向けた重要な課題の1つだったという。日本郵船と、NTTデータは、NYKグループのGHG排出量を網羅的に可視化するため、日本郵船本店および国内外連結子会社約80社のGHG排出量の集計体制を今年12月までに構築する。

上記課題を解決するため、両社は今夏にGHG排出量可視化支援コンサルティング契約を締結し、集計体制が整っていないScope-3について、集計対象の選定、集計体制と算定ロジックの検討などを行ってきた。今後は、これまでの検討を踏まえ、既存の集計体制を活用しつつ、Scope-3全体の集計体制を構築し、排出量データを収集・集計する。

それらとScope-1とScope-2を合算することで、日本郵船はグループ全体のGHG排出量の可視化を目指す(船舶輸送事業に限らず、卸売り、製造、その他輸送等すべての事業を含む)。これにより、GHG排出削減に向けた取り組みの定量的分析が可能となり、より効果的なGHG排出削減への寄与が期待されるという。