脱炭素社会の構築に向けたEV導入の検討がされている。企業・団体でEVを蓄電池として利用し、再生可能エネルギーを効率的に活用する「V2H」の導入も進む。一方で、すでにEVやV2Hを利用している事業者からは――
「複数台のEVを導入したが、充電タイミングが重なると電気代が高くなり、想定よりもコストがかかってしまう」「EVの充電が間に合わず、翌日の業務に支障を来した」といったコストや運用に関する課題が上がっている。一部のEV充電制御システムでは、導入時に既存の充電機器を取り換える、もしくはメーカーやモデルを統一する必要があるといった課題もみられるという。
パイオニアと、NextDriveは協業し、電力データと移動データを掛け合わせることによりEV関連のエネルギーマネジメントを最適化する「EV充放電制御システム」を開発する。前者は車両の移動データを収集し、独自プラットフォーム「Piomatix for Green」を活用してEVの充電状態や消費電力量を予測。後者はエネルギーマネジメントコントローラー/IoEゲートウェイ「Atto」を活用した電力データ収集およびEV充電機器やV2H機器の操作を担当する。
上記2種の収集データを最適制御することで、翌日の走行距離まで考慮した複数車両の充電制御やEVを蓄電池として利用した再エネの有効活用など、無駄のないエネルギーマネジメントが可能になる。EVの運用効率化、電力コスト削減につながる。同システムは、EVや充電機器を導入済みの事業者にも幅広く活用してもらえるよう、車種や充電機器メーカー・モデルを問わずに後付け可能とする(計画)。
両社は、賛同企業と共に2023年度中に上記開発および実証実験を行い、エネルギーマネジメントの有用性を検証していく。同システムの開発サンプルを「第3回 脱炭素経営EXPO秋」のパイオニアブースに展示する予定だという。