1995年の約8,700万人を頂点とした生産年齢人口の減少が深刻である。日本では現在、各種現場における魅力的な職場環境への転換は急務で、ロボットの活用が期待されている。なかでも建設業界は、猛暑や極寒など厳しい天候への対応のほか――
中腰姿勢等の無理な体勢による健康被害の防止、危険作業への対応といった課題を抱えていて、現場技術者不足がより深刻だという。NTT西日本、建ロボテックは、建設ロボットの遠隔操作・オペレーション支援環境構築に向けた実証実験(22年9月発表)を踏まえ、今回、実際の建設現場において、建設未経験者によるロボット遠隔操作で、従来現場技術者が行っていた鉄筋結束作業の約8割をロボットに置き換えることに成功した。
実現場でロボット単独による鉄筋結束作業は日本初だという。建設現場の課題解決をめざす両社は、すでに現場導入が進んでいる協働型の鉄筋結束ロボット「トモロボ」を利用し、①遠隔操作による現場技術者の負荷低減 ②簡単なGUIにより誰でも業務ができる環境構築を目標に、同ロボットに遠隔操作機能を追加する開発を進めた。そして、NTT西日本の旧本社ビル跡地の建て替え現場で、操作の実用性や現場評価について検証した。
結果、鉄筋結束作業の80%がロボットへ置き換えられた(トモロボによる削減効果:約50%、遠隔操作による削減効果:約30%)。今回のロボットとその遠隔操作による現場作業削減により、鉄筋結束作業に関わっていた現場技術者は、稼働率が約20%に抑えられ、より高度な業務に従事可能となったという。
今般の実証結果を踏まえ、実際の建設現場の課題に向き合う鉄筋事業者と共に、建設現場の様々な環境に適応したサービスの具体化検討を実施していくとした。NTT西日本は、建設現場のロボットによる課題解決に向き合うディベロッパー、鉄筋事業者を広く募集し、当該仕組みの早期社会実装をめざしていく構えだ。