極細硬性内視鏡により手術前後の細やかな観察や負担軽減等を可能に

関節内は放射線や超音波検査での評価が難しい。MRIでも詳細を把握することは困難である。今日の医療では、手術前に侵襲度の高い関節鏡検査が必要となるうえ、手術後の経過を観察することも容易ではないという。

慶應義塾大学の小池康博教授(KPRI所長)ならびに医学部整形外科学教室の中村雅也教授とエア・ウォーターは、GI型POF(屈折率分布型プラスチック光ファイバ)技術を応用した極細硬性内視鏡の開発に世界で初めて成功した。同内視鏡は、侵襲度が低く局所麻酔下で関節内を動的に観察でき、外来で術前術後の細やかな観察が可能となる。低コストなのでディスポーザブルとし、滅菌作業など現場労働力の削減にもつながるという。

体内の映像はGI型POFレンズを通じて体外へ伝送できる。同レンズは0.1~0.5mmの細さで患部に挿入可能で、関節内部を低侵襲で観察できる。先端の極細レンズ部は注射針と同じ細さであり、局所麻酔下でも使用でき後の縫合も不要な硬性内視鏡として、外来や処置室等での内視鏡検査も可能となる。

極細硬性内視鏡の使用により、患者の関節内を低侵襲で手術前後に直接観察でき、迅速かつ正確な病状把握や、手術後の経過観察を効率よく行える。これまで関節内視鏡検査は入院を伴う全身麻酔が必要だったが、極細硬性内視鏡は局所麻酔で済むため外来や在宅での検査・治療が可能となり、患者の肉体的負担、医療現場の負担が大幅に軽減されるという。

3者は今後、試作機の改善や前臨床評価を推し進め、2024年の実用化を目指すとともに、整形外科領域以外への応用や、治療用途への適用拡大も進めていく。上記新開発した内視鏡について、将来的には訪問医療や在宅医療、遠隔医療など、エア・ウォーターグループが得意とする領域への展開も視野に入れ、検査・治療の短縮や医療費の低減、そして、国民の健康増進や「ウェルネス(健やかな暮らし)」の実現につなげていく考えだ。