まずは生ウニから、食品の安全安心をデジタルプラットフォームで実現

食品の偽装問題は跡を絶たない。近年、偽装食品を一部に混ぜたり、一時的に産地を経由したりするなど、手口が巧妙化している。消費者への直販・自社管理ルートを持たない生産者は多く、品物が消費者に届くまでに多様な事業者を経由する、それも偽装の根絶が難しい原因と推測されている。

偽造品の流通は食品のブランド価値を毀損し、真正な生産者に大きな打撃を与えかねず、産地偽装に気づかず購入してしまう恐れのある消費者側でも、食の信頼性を脅かす状況につながっているという。旭化成TISは、共同構築した偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia®」を、食品偽装問題へのソリューションとして活用開始する。今月より、高級ウニの水産加工を営む羽立水産(facebook)の「はだての生うに」で取り組みを行う。

豊洲市場でも日々高額取引されるそれを提供している羽立水産では、過去5年ほど、偽装ウニの流通が増加していることに懸念を抱いた。一方、旭化成では、アパレル業界向け偽造防止ソリューションの新たな用途として食品偽装対策への展開を模索していた。そこで、「はだての生うに」の真贋判定ができる手段の提供に向けて、偽造困難なラベルを商品のパッケージに貼付。ラベル上には消費者への情報提供用に真正品の表示と二次元コードを付記する。

今回の取り組みにより、消費者も本物であることが一目でわかり、より安心して商品を購入できるようになる。今後、食品業界のニーズや課題を収集し、サプライチェーン全体での偽造品排除に向けて、流通拠点で真贋判定できるシステムの構築を進めていく。消費者自身が購入商品を食す前に本物かどうか確認できるソリューションの提供も検討している。

旭化成とTISは、サプライチェーン全体で商品のブランド価値を高め、生産者から流通・小売企業に適正に利益が還元され、食品の信頼性を守る――偽装品排除でこれらを目指していくという。