内閣府の交通安全白書中にある「鉄道交通事故の動向」にて上記状況及び課題が明らかにされている。日本国内の鉄道業界は、厳しい労働環境や社会課題である少子高齢化などにより、就業者不足に直面している。鉄道の安全性を確保するためにも、鉄道現場における自動化や省力化が求められている。即時対応が必須となる鉄道運転事故ではリアルタイム性も要求されているという。
OKIは、住友商事、東急電鉄とともに、ローカル5Gを活用した「線路敷地内の安全性向上に関する実証実験」を実施中だ。総務省「令和4年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に係る同実験では、カメラとAI画像センシングを用いた「踏切滞留監視」と「線路内侵入監視」による事故の未然防止や異常発生時の早期対応への有効性検証を、3月まで東横線菊名駅~妙蓮寺駅間の踏切や線路敷地内にて行う。
「踏切滞留監視」は人・車などをAIエッジコンピュータ「AE2100」と沿線の低照度カメラを用いて映像から自動検知し、運輸司令所と運転士に即時通知するもので、司令所には検知映像の自動表示も行う。「線路内侵入監視」はローカル5Gの特長を活かして、複数の高精細4Kカメラでの撮像を遠隔地のAI処理サーバに伝送し、AI画像解析技術により踏切や駅ホーム、境界柵からの線路内立入を検知し、通知・映像の自動表示を行う。
これらの監視により、踏切や線路敷地内の異常を複数の映像でリアルタイムに確認でき、安全性の向上が期待できるという。OKIは、今回の実証実験に参加することで、検知対象範囲を踏切から線路へと広げ、線路上の支障物確認のような新たな機能の追加を検討していく構えだ。