先進諸外国はHL7 FHIRの国内ルール策定やデータ可搬を進めていて、スマホアプリによる健康データの多目的利用を広げている。が、日本では各医療機関のEHR(診療データ)や個人のスマホ等で管理する情報は利用範囲が限定的で、環境整備が課題となっている。近ごろEHRや個人所有バイタルデータを各人が自己管理・活用する社会の実現に向けた施策が議論、推進化(厚労省PDF)されているという。
札幌医科大学と富士通は、ヘルスケア領域のデータポータビリティの実現に向けて、同大学附属病院において電子カルテシステムに蓄積された患者のEHRを含む個人の健康データ(PHR)を活用する取り組みについて合意した。EHRを患者がiPhoneから閲覧できる仕組みを構築し、今年4月より運用を開始する。Appleのサポートのもと電子カルテシステムとヘルスケアアプリが相互連携する取り組みは日本初となる。
患者自身による健康管理や病気の予防、医療機関による治療や予後管理における患者の健康状態の把握、地域医療間連携の強化や患者エンゲージメント向上などの実現を目指す。同病院はシステム設計や運用を監修し、個人の健康データの利活用に向けた環境整備を進めていく。診療業務における個人の健康データの利活用による医療の質向上等を目標とする。富士通はクラウド系ヘルスケアデータ基盤を開発する。
EHRの外部保存はFHIR JP Core 実装ガイドV1.1.1に沿った形式に変換した上でそれを行う。両者は、個人が健康や医療に関するデータを主体的に管理するデータポータビリティの在り方を検討し、複数の医療機関とのデータ活用により、道内で先進的な地域医療連携の仕組みを構築していく考えだ。