水素社会を構成する、FCシステム搭載商用トラックを中国で走行実証

「2050年カーボンニュートラルの実現」が官民の大きな目標となっている。それはすでに国際的な大潮流になっていて、同目標達成のために日本は2017年末に世界に先駆け「水素基本戦略」を策定したが、現在、燃料電池車(FCV)等のインフラ整備では海外勢に後れを取り始めている。

上述の状況を昨水無月の経産省PDFにて確認できる。水素の本格普及に向けては、用途拡大(船、列車、物流トラックなど)や、社会全体の自律的なエコシステムの構築が必要であり、そこに必要となる安価な水素の確保に向けては、グローバルサプライチェーンの構築に加え、国内オンサイトでの貯蔵を含めたシステム構築と水素製造実証が重要になる。さらに、人材の戦略的育成を含めた研究開発の足腰の強化も必要だと同省はいう

今年1月11日、Hondaは、同社の現地法人である本田技研工業(中国)が、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、東風汽車集団と共同で、Hondaの燃料電池(FC)システムを搭載した商用トラックの走行実証実験を湖北省で同月に開始したことを発表した。

同社は2050年カーボンニュートラルの実現に向けた技術の一つであるFCシステムの応用や展開に取り組んでいて、東風汽車集団と、20年以上にわたるパートナーシップのもと、中国における乗用車事業を行っている。今回の実証実験は、東風汽車集団が長年培ってきた商用車開発のノウハウと、Hondaが長年開発に取り組んでいるFC技術を掛け合わせた、中国でのカーボンニュートラル実現に向けた新たな取り組みとなる。

実証実験の開始に向け、これまで両社は東風汽車集団の商用トラックに対するHondaのFCシステムの適合性について検証を行ってきた。今後は、実走行を含むさまざまな条件下での環境適合性、燃費性能、耐久性などを確認し、商用車ユースにおけるHondaのFCシステムの有用性を検証していく構えだ。