国内外の気候変動、物理的リスクによる事業への影響額を算出する

昨今、気象は激甚化している。気候変動はビジネスの継続に大きな影響を与えている。コーポレートガバナンス・コードが改訂され、今年4月以降、東証プライム市場に上場する企業は――

「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の開示が実質義務化(参考:JPX PDF)され、各社対応が求められている。企業のサステナビリティ部門に所属する300名を対象に、当社が実施したアンケートによると、財務影響額の算出まで行っている企業は14%にとどまった。気候変動が企業活動に及ぼす影響について、定量的な物理的リスクとその結果、企業の財務に与える影響の分析に課題を感じている企業は少なくないという。

ウェザーニューズは、気候変動リスク分析サービス「Climate Impact」をバージョンアップし、気候変動が事業に与える影響金額を算出した「財務影響額」の項目を追加した。グローバル対応もし、100拠点以上同時分析可能とする、同サービスは気候パターン分析(雨、風、気温、日射量)、気候リスク分析(洪水、高潮、水ストレス、干ばつ、熱波、収量)、財務インパクト分析(洪水、高潮)で構成される。

「財務影響額」は、企業の気候変動に関する情報開示の品質向上を目的に、同サービスで分析した物理的リスクから算出。企業の施設、物流拠点、工場など拠点ごとに算出する。分析・算出結果は、開示情報に掲載しステークホルダーへの説明に利用するほか、投資の費用対効果の把握や、設備投資の際のエビデンスとして利用できる。既に一部の企業では、統合報告書や非財務情報として開示情報に掲載するなど利用が進んでいるという。

同社は今後、気候変動のリスクに対する適応策として、気象情報や土砂災害・浸水リスクなどの情報を一元的に確認できるウェブシステムの提供も予定していて、企業活動の事業継続力やレジリエンス力を高め、企業価値の向上をサポートしていく構えだ。