各種電動車のバッテリー、バリューチェーンを業界横断型で築く

欧州で検討中の電池規制案では、バッテリーのライフサイクル全体におけるCO2排出量や資源リサイクル率を欧州委員会に開示することが求められている。いずれ日本企業がBEVやHEVなどの電動車をヨーロッパ市場で販売する際、同規制の基準を満たすことが要求される。

かの地では現在、データ流通構想をまとめた「Gaia-X」や独自動車メーカー・IT企業による「Catena-X」といった仕組みの構築が進んでいる。一方、欧州のデータスペース(単一ポリシーでのデータ管理空間)と相互接続できる独自の仕組みの実現が課題となっている――日本では、冒頭の課題に対応するためにも、バリューチェーンを構成するさまざまな取引先とデータをセキュアに共有するための共通プラットフォームの整備が必要だという。

NTTデータデンソーは、秘匿データを保護しつつ必要なデータのみ相互流通できるセキュアなデータ連携プラットフォームの実現に向け、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステムの構築に今年9月着手した。両社は共同事業検討のための基本合意書を締結し、同エコシステムの実現に向けて、経産省の補助事業に共同で応募し、同月正式に事業者として採択された。

当該エコシステムで活用されるプラットフォームは、電動車向けバッテリーにとどまらず、将来的にさまざまな産業における企業間でセキュアにデータを活用できる次世代の情報インフラを目標にしたものだという。両社は、2024年から一部施行予定の欧州電池規制も見据えて、23年度中のサービス商用化を目指す。

それと並行して、車載バッテリーに関するライフサイクルでのデータ管理を実現する自動車業界・製造業向けデータスペースを運営する新団体の設立についても検討を行う。日本国内で制度・システムを整え、これを日本車が普及しているアジア諸国へ展開し、国外でも幅広く利用されるプラットフォームとしていく考えだ。