医療DX、電子カルテの診療データを疾病予測AI開発に生かす

デジタルトランスフォーメーション(DX)が進展しつつある。昨今、診療データについては、研究分野にとどまらず、診療や経営の改善に向けた統計データとしての活用も検討されているほか、ヘルスケアなど様々な業界からの期待が高まっているという。

一般病院における電子カルテシステムの普及率が約6割(厚労省PDF)となった、日本において、昭和大学富士通Japanは、同システムに入力された診療データから即時に疾病を予測し、治療方針の候補などを医師に提案する「診療支援AI技術」の開発に向けた共同研究を今月~来年3月まで行う。医師の診断支援による医療水準の均てん化(医療技術等の格差是正)や診療業務の効率化を目指し――倫理審査で承諾を得た――

昭和大学横浜市北部病院が保有する過去20年分の匿名診療データと、同病院の専門医による知見やアドバイスを基に、主訴や患者所見など電子カルテ記載テキストデータを自然言語処理技術で解析し、鑑別診断候補となる疾患分類をスコアリング評価した結果と過去の診療データを組み合わせて、総合的にデータの特徴量を算出し、類似症例検索アプローチによる疾患候補の提案を行う、診療支援AI技術を後者が今年度中に新規開発する。

医療分野のDXを通じた患者サービスの質の向上をめざす。上記技術により、迅速な鑑別診断(患者の訴えや検査結果などから可能性がある病気を見極め)を可能とし、診療業務の効率化を実現する。臨床現場にて、開発技術の有効性の検証と評価を行い、同病院での本運用に加え、他の昭和大学附属病院に向けたサービス提供や研修医向け教育コンテンツへの展開など、昭和大学病院グループの診療全体に寄与していくという。

昭和大学は継続して患者本位の医療や高度な医療の推進、医療人の育成に励む。富士通Japanは診療業務の効率化を支援する、上記技術のさらなる精度向上、全国の医療現場での適用を推進していく構えだ。