建設現場DX、LPWA用いて暑さ指数を感知・共有する

地球温暖化の影響だろう。日本では6月からほぼ全国で熱中症への警戒が必要となる。これまでその企業では、建設現場内の熱中症対策として一日数回所定の場所で所員がWBGT(暑さ指数)値を計測――。つながるWBGTセンサーは通信設備に多額の費用を要すると想定されていたという。

「熱中症予防情報サイト」に全国のWBGT実況・予測はあってもあらゆる現場のことまではわからない。8月24日、長谷工は、センスウェイと共同で、LPWA系のLoRaWAN®(LoRa Alliance規格)を搭載したセンサーを通して環境データを一元管理する「建設現場内環境センシングシステム」を開発したと発表。その活用第一弾として、今夏よりWBGTセンサーの運用による熱中症対策を行っていることを明らかにした。

同システムの導入により、いつでもどこでも建設現場の関係者全員がWBGT値を確認できるようになり、それがしきい値を超えるとアラート通知も届くので、熱中症への迅速な対応が可能となった。管理システムの地図上に全建設現場の状況を表示できるので、本部事務所で一元管理も可能となった。各建設現場においては、一日あたり約一時間の労務削減を見込んでいる。

今回利用したLoRaWANは、低消費電力(乾電池のみで動作)で長距離通信するため、通信設備は現場事務所内の中継器のみで済み、コスト低減も図れたという。同社は今年度、建設現場内外の安全確保対策として風向・風速センサーの設置もおこなった。近隣の人々への配慮をさらに充実させるため、騒音センサーや振動センサーも実装する準備を進めている。

それはTCFD提言を踏まえた当社の気候変動対応策の1つ「気候の影響を受けない施工方法の確立」の「監視システムのIoT化」にまさしく合致するシステムだという。長谷工は今後も建設現場DXを加速――安全と品質の向上、業務効率化を推進し、働き方改革を進めていく構えだ。