建設重機の位置をBIMへ即時反映、現場の生産性を大幅アップ

建設重機を使用する。土工事や杭工事の施工管理においては、重機の稼働状況を現場巡回にて把握し、配置図へ記入する方法が一般的だ。そのため、敷地が広く多くの建設重機が稼働する大型工事現場では、当該作業に手間と時間がかかっていたという。

五洋建設は、応用技術ソフトバンクと共同で、BIM(建築ワークフロー)モデル上へ建設重機位置をリアルタイム投影する技術を確立した。同技術を「五洋建設統合施工管理システム(PiCOMS)」へ実装し大型物流施設建設現場へ適用する実証実験を行い、生産性向上に資することを確認した。PiCOMSは工事進捗状況を見える化、品質管理・安全管理・作業員配置状況などの情報を一元化し、工事関係者間での即時共有を実現する。

新技術では重機位置を高精度位置測位(RTK測位。解説:ソフトバンクブログ)により特定し、収集したデータを収納する位置情報サーバーとPiCOMSサーバーを連携させることで、そのリアルタイム位置と工事進捗状況を組合せ、BIMモデル上への表示・可視化を可能とした。可視化された情報は現場事務所や作業員休憩所の大型モニター、各種タブレットに表示できる。

重機の稼働時間の算出も可能としたことで、工事期間中の重機の位置情報と稼働時間情報が収集される。最大20台の重機が稼働する現場での杭工事における検証では、関係者間の情報共有のための作業の自動化と、現場のリアルな情報に基づいた打合せが可能になることで、現場負担を1/5程度に軽減できることを確認した。

PiCOMSにより建築工事管理の生産性向上と働き方改革を目指す。同社は今後、データを蓄積・分析することで重機の配置計画や稼働状況を考慮した効果的な施工計画の立案と、さらなる生産性アップに向けて、新技術を各現場へ積極展開していく。実稼働時間から重機CO2排出量を自動算定する「現場CO2排出量の見える化」にも取り組んでいくという。