また、異常発生時の原因特定と対処には熟練者を必要とするなど、技術伝承や人材確保の面での課題があり、沈殿槽の処理状態は実際には目視確認によることが多い状況だったという。栗田工業は4日、遠隔監視サービス「S.sensing™」の新たな形を発表――同日、東芝デジタルソリューションズは同社のIoT×AIの仕組みが、今回提供の始まった沈殿槽自動監視サービス「S.sensing™ TS」に採用されたことを明らかにした。
設備メーカー向けアセットIoTクラウドサービス「Meister RemoteX™」とアナリティクスAI「SATLYS™」を活用した排水処理の遠隔監視サービスが、上記栗田工業の課題を解決する。排水処理の最適化と安定化を通じてCO2排出量と廃棄物を削減し、持続可能な社会に寄与していくという。東芝デジタルソリューションズは、Meister RemoteXで収集したデータをもとにSATLYSで2種類のAIモデルを構築した。
新サービスでは、沈殿槽の正常時データのみを用いて槽内の異常状態を高精度で検知できる「異常検知AI」と、正常・異常データを学習済みで複数種類の異常状態の高精度識別が可能な「状態推定AI」が現場端末(エッジPC)上で異常検知の推論と、異常時の状態推定の推論を行う。Meister RemoteXによって、同端末へ遠隔でAIモデルを配信可能にするなど、AIモデルの維持管理の効率化も実現したという。
同社は、今後も東芝グループのAI技術を活用することで同サービスの高度化を進め、栗田工業のS.sensingを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。