エネルギーインターネットの実現を、新制御技術が加速する

エネルギー資源の確保が世界各地で大問題となっている。現代社会は地球規模で電子・電動化している――。近年、エネルギー流通のためのインターネットである「エネルギーインターネット」という新しい技術が注目を集めている。

情報のインターネットに着想を得たエネルギー流通のためのインターネットのことであり、需要家と供給家の組み合わせをこれまで以上に自由にする。エネルギーインターネットにより、多彩なサービスが展開されると期待される。がしかし、電力パケット型(TCP/IPパケットと同様、ある時間幅の電力パルスに情報タグを付加した単位を作り、ネットワーク上で流通させる方式)のそれに、モータ駆動系などの制御システムを端末として接続するためには――

制御システム側に蓄電池やキャパシタといった電力平滑化のためのデバイスを備える必要があった。そのような追加デバイスはシステムを複雑にするため、実用上望ましくないという。名古屋大学大学院工学研究科(東 俊一 教授)の研究グループは、電力パケット型エネルギーインターネットのもとで動作するシステム制御技術の開発に成功した。

同グループは、複数アクチュエータを有するシステムにおいて、必要なときに必要な電力パケットを調達して制御する「最大休止制御」方法を開発した。これにより、電力平滑化(時間的に不連続なエネルギー供給を連続化する)用のデバイスを使うことなく制御をすることが可能になった。電力パケット型のエネルギーインターネットの実用化の加速が期待されるという。

JST創発的研究支援事業JPMJFR2123およびJSPS科学研究費基盤研究(A)21H04558の支援のもとで行われた。今回の研究の成果は、Wiley Online Libraryの「International Journal of Robust and Nonlinear Control」に掲載された。