ブロックチェーン技術で廃プラスチックをトレース可能とする

SDGsの達成が産業・社会で目指されている。昨今、世界的にプラスチック素材のリサイクル需要が高まっていて、リサイクル原料の出自や含有物質の情報提供が求められているという。

DICは、プラスチックの資源循環を促進するため、SAPと連携しブロックチェーン(分散型台帳)技術を使用した廃プラスチックのトレーサビリティ(生産流通履歴の追跡)システム構築の実証実験を開始した。幅広い用途のポリスチレン(PS)を製造・販売している同社はサステナビリティ戦略の重要施策として、注力中の食品パッケージ市場における循環型社会の実現を目標にしている。

一昨年11月にはパートナー企業とPSの完全循環型リサイクルの社会実装に向けた検討を本格化(発表記事)。そして今回、GreenToken by SAPシステムを利用して、生産の初期段階からサプライチェーンに沿って原材料を追跡し、リサイクル原料の製造・検査工程、物性・品質情報などを可視化することを目指す。これにより、顧客は再生プラを使用する際、その製品がどの程度リサイクル原料を含有しているか提示可能となる。

同システムはプライベートブロックチェーンにより供給網の透明化を図るとともに、プラスチック素材の原材料から製品の製造・販売・使用、回収、粉砕を経て再利用されるまでの資源ライフサイクルにおける過程を追跡するものだ。デジタルツイン技術を活用し、原材料の出自に関連する固有の属性や、カーボンフットプリント、市場回収品の出自、サステナビリティ認証データなどの情報をトークンに記録する。

トークンを発行することで、リサイクル原料と他の原材料との混合による新たな製品を生産した場合でも、そのリサイクル原料を追跡できるという。同社はグループの長期経営計画「DIC Vision 2030」のもと、顧客やサプライヤーと協同し、サプライチェーン全体で循環型社会を具現化していく構えだ。