今月2日、ルネサスは、EVのバッテリマネジメントシステム"BMS"向けに、AUTOSAR準拠CDD(複合デバイスドライバ)の提供を開始した。これを車載用マイコン「RH850/P1M」に搭載し、リチウムイオンバッテリ管理IC「ISL78714」と組み合わせると、BMSの性能を最大化し、開発期間を短縮できるという。CDDは同社のBMSリファレンスデザイン・ハードウェアキットに対応する。
RH850マイコン用のMCALソフトウェアに載せる。CDDは、バッテリ管理の基本要素であり、バッテリセルの電圧と温度の測定値を収集し、ISL78714のセルバランシング機能を制御する。パラメータ設定によりBMS内のセル数や、当該セルのデータ収集の頻度を指定可能。シンプルかつフル機能のAPIが用意されていて、ユーザアプリで上記測定値をリアルタイム受信できる。
所要インタフェースとプロトコル管理はCDDソフトウェアに組み込まれていて、MCALモジュールの低レベルSPI、GPIOおよび汎用タイマ(GPT)ドライバ上で動作する。同ソフトウェアは設計を簡素化する実用的なアーキテクチャを提供――、ユーザは独自アプリの開発に注力できる。CDDならびにMCALモジュールは、自動車機能安全規格ISO26262ーASILで最も厳しい"D"の開発プロセスに準拠。RH850/P1MもASIL Dをサポートしている。
ユーザがASIL D準拠ソフトウェアを開発する際、CDDをサンプルとすれば早期開発が実現できる。設計支援を希望するユーザは、同社のパートナTATA Elxsiと契約し、システム開発を行えるという。