画像認識AIと空間情報にてインフラ設備の錆をまとめて高精度検出

社会資本ストックの維持管理が大きな課題となっている。たとえば道路橋は来春50歳以上となるものが約4割を占め、この割合はその後も増え続ける。手入れを続けなければ道路網自体も朽ちていく。

「インフラメンテナンス情報」に記載された各施設や道路など、社会インフラは、老朽化の進行、点検コストの増加、点検員の不足といった問題を抱えている。そこで政府は「未来投資戦略2018」にてセンシングやAIなどの新技術を導入するインフラ管理者の割合を2030年までに100%にするとし、当社では、センシングデータをデジタル空間上で結合・蓄積・分析する「4Dデジタル基盤®」によって解決することをめざしているという。

NTTは、画像認識AIにより、多様な社会インフラ設備に発生した錆の高精度検出に成功した。同AIはモバイルマッピングシステム(MMS)を用いて取得した沿道画像2,000枚から、複数のインフラ設備を94.3%正しく識別し、各インフラ設備(道路附属物および柱上設備)に発生している錆を97.5%(AI/目視=704/722枚)の精度で検出した。

多彩な設備、異なる照度・構図の撮像を十分かつ均等に学習させるとそれらを正しく認識できる。道路附属物ではガードレール/標識/ミラー等の種類を、柱上設備では金物/ケーブル等を別物体として認識し、各領域を画素単位で解明する。暗い画像から錆を見つけられるAI、微小な錆を見逃さないAIなど、複数AIの出力を総合的に判断し、逆光や曇天下で写った設備からでも錆を高精度に見出す。

画像認識AIによって、MMSで同時撮影した画像から複数のインフラ設備を一括識別・点検でき、現地点検の集約と負荷軽減が期待される。同技術を「つくばフォーラム2022」にて披露する。同社は、AI技術のさらなる深化によって、社会インフラ維持管理業務に付加価値を与え、スマートな社会の実現に貢献していく構えだ。