エネルギー消費量を実質ゼロにする特別養護老人ホームが完成・引渡し

その特別養護老人ホームは、非常時に近隣の要介護者も受け入れる「福祉避難所」に登録されている。けれど老朽化により、避難所としての機能は改善が必要な状態であった。

熊本地震では被災地への救援物資の中継拠点としての役割を通じ、災害時における事業継続の重要性をあらためて認識するようになったという。杏風会より白寿園の建て替え工事プロジェクトを受注した、NECファシリティーズは、今年4月末に同施設の引き渡しを完了した。新装白寿園(概要PDF)は、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の1次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した。

ZEBシリーズ4分類のうちZEB Ready(環境省解説)に該当するという。同社はカーボンニュートラルやBCP(事業継続計画)の観点を採り入れ、計画から設計、施工、運用までワンストップで建築物の省エネ・創エネを実現するZEBソリューションを19年から提供している。今回のプロジェクトでは、①レジリエンス強化の観点で省エネ・創エネ設備を導入、②ZEB認証取得及び補助金事業に採択、③利用者の生活を守りながらの工事進行を実現した。

①ではBEMS(建物&エネルギー管理システム)、太陽熱温水システム、潜熱回収ボイラー、高効率空調機、全熱交換器、調光・人感センサー及びタイマー制御LED照明、Low-E複層ガラス、壁・天井・基礎下ウレタン断熱に加え、災害非常用自家発電機、太陽光発電、蓄電池の導入も提案した。省エネ性と利用者への快適な空間提供のため、ベンダーフリー対応として、以前からある地中熱利用換気空調システムを再利用している。

各種省エネ・創エネ設備を企画提案し、設計上の建物の消費エネルギーを67%削減し、ゼブレディを実現した。同社は、新築のみならず既存の工場や事業場などでも省エネ診断/ZEBソリューション提案をして、カーボンニュートラルの実現に貢献していく構えだ。