日本のロボットは社会や家族の一員としての見た目のかわいらしさが重要視されている。けれど我々は、むしろ見た目の影響を受けない、個人が抱く主観的な「かわいい」を表現し伝える方法の重要性に着目したという。ATR、同志社大学、JSTによる研究チームは、ぬいぐるみに触れながらロボットがする説明に人の感情が動かされること、被験者は説明者がロボットでも人間でも、そのものに触れられた対象物により強く「かわいい」を感じることを明らかにした。
人やロボットが物に触れることで「かわいい」と感じていると他者が見なす、さらにはその他者も触れられている物をより「かわいい」と感じることを明白にした。マスクで笑顔がわかりにくい状況でも、「かわいい」が伝わり交流が促される。ロボット店員が商品に触れながら説明すれば、顧客は「かわいい」との思いを強くし、その商品に一層興味を持つだろう。
説明者や対象物の見た目を変えず、説明者が物に触れることで人の気持ちに変化をもたらした。これは主観的な「かわいい」を引き起こす要素が見た目以外にも存在していることを示唆しているという。今回の研究は下記プロジェクトの一環として実施されたものであり、上述の成果は「PLOS ONE」誌に掲載された。
CREST「ソーシャルタッチの計算論的解明とロボットへの応用」、科研費基盤A「『かわいい』感情の効用とその実社会応用に関する研究」、さきがけ「ソーシャルキャピタルの醸成を支援するロボットシステム」、科研費 特別研究員奨励費「対話を通した性格推定に基づく個人適応型情報提供ロボットの実現」