CBT方式では、高速な計算処理を行う駅務機器を要し、乗車券の仕組み全体のコスト高の一因にもなっている。そのため、センター集約型の――認証媒体となるQRコード(デンソーウェーブ商標)やICカードの固有ID番号とひも付いた利用者の情報をクラウドサーバ側で管理する――ABT(アカウントベースチケッティング)方式の需要が高まっている。
今月4日、広島電鉄、NEC、レシップは、スマートフォンに表示させたQRコードや新たな交通系ICカードを認証媒体とするABT方式の新乗車券システムの開発に着手した。定期券への対応や複雑な割引制度に対応したABT方式による乗車券システムの商用化の発表は日本初だという。3社は、新乗車券システムについて、2024年10月のサービス開始を目途に開発を進めていく。
新乗車券システムでは、チャージ残高や定期券などの情報をクラウドで保持・参照・更新する。高速エッジ処理不要のため、システム全体の低廉化を図れる。多様な認証媒体にも対応可能となるため、他の交通手段や街中・旅先などでの多彩なサービスとの連携も期待できる。利用者は自身のスマホやPCからチャージ/定期券購入/利用履歴閲覧ができ、路面電車やバスの乗車・降車時に、スマホのQRコードを車載機へかざすだけとなる。
スマホをもっていない人は、乗車・降車時に専用の新たな交通系ICカードを車載機にタッチすることで利用できる――。いまの交通系ICカード「PASPY」に導入している各種割引サービス(定率割引や乗継割引、共通定期券制度など)は、新乗車券システムにも実装予定だという。