人とAIによるハイブリッド制御ロボット、物流施設展開に向けて

産業及び社会の基盤である物流は昨今、その重要性が一層高まっている。一方で、深刻な人手不足など、課題解決が急務となっている。

今月3日、TXニチレイロジグループセンコーは、AIシステムによる自動制御と人による遠隔操作のハイブリッド制御ロボット技術を核とする新たな物流オペレーションの開発を目的に、実証実験を開始した。その第一段階として、ニチレイロジグループの物流施設の冷蔵エリアにおいて、TX製遠隔操作ロボットがカゴ台車への混載積み付けを行う実験を行う。今年秋頃には、センコーの大手小売業向け物流施設においても、実証実験を予定しているという。

物流施設向けTX製ロボットは、協働用ロボットアーム、AGV(自律走行搬送ロボット)、エンドエフェクタおよび遠隔操作機構で構成されている。一般的なパレタイズ/デパレタイズロボットと違い、稼働場所が柔軟かつロボット作業の前後工程にてマテリアルハンドリング機器等の追加が不要。全ての電力がAGV内蔵バッテリーから供給される仕組みであるため、移動を伴う作業や時間帯等に応じて異なる場所で稼働できる。

ロボットを遠隔操作するオペレーターが把持対象物や積み付け場所等を目視確認するため、ケースサイズ等に合わせた最適な把持や載置が可能であり、保冷カバー付きカゴ台車のような複雑な作業を要する場合も従来の積載効率を維持した混載積み付けを実現しているという。

TXは、AWP(拡張労働基盤)を通じて、身体への負担が大きい仕事をロボットが代替することによる労働環境の改善や生産性向上に関する検証を行う。ニチレイロジグループは、物流センター作業におけるリモートワークとストレスフリーな作業環境構築の可能性を検証する。センコーは、時間帯や業務の都合に合わせて移動できるロボットは稼働時間が飛躍的にアップ、遠隔操作で人が常時監視するためトラブル時の迅速な対応も可能だと考えている。