山岳トンネル施工の無人化に向けて、RHの遠隔操作を達成

生産年齢人口の減少が続く。日本ではさまざまな現場で省人化や無人化への取り組みが求められている。建設業では特に、施工現場におけるICT(情報通信技術)やロボティクスなど先進技術のフル活用が急務となっている。

狭い空間にて複数の特殊重機による複雑な作業が必須となる、山岳トンネル工事においても、必要最小限の人員体制で生産性を向上させるために、自動化や無人化技術の開発を推進していく必要があるという。西松建設は、ジオマシンエンジニアリングと共同で、山岳トンネル無人化施工技術の1つである自由断面掘削機(Roadheader:RH)の遠隔操作システム、「Tunnel RemOS - RH(トンネルリモス-RH)」を開発した。

そして、実証実験(「長崎497号 松浦1号トンネル新設工事」)において無人運転時の動作・操作性・安全性を確認した。"遠隔操作室"、"映像・操作信号通信システム"、"機体制御システム"、"掘削ガイダンスシステム"で構成される、トンネルリモス-RHでは、RHの走行やブーム操作といった切羽における掘削作業に必要な運転動作を車体に設置した複数のカメラ映像で確認しながら、ほぼ遅れなく無線で遠隔操作することができるという。

同社は、切羽近傍の安全性向上と坑内作業の省人化を目的とし各施工機の無人化技術と、AIソリューションを組み合わせた「Tunnel RemOS」の構築を進めていて、今回開発したRH遠隔操作システムは、「Tunnel RemOS -WL」「Tunnel RemOS -Meas」「Tunnel RemOS-Lining」に続く4つ目のしくみであり、今後も他と同様現場にて継続的な試行とともに改良が加えられていく。

それら4つの技術を用いて、トンネル掘削作業の完全無人化・自動化の早期実現に向けた取り組みを続けていく。西松建設は、各技術の実証実験を'23年度までに完了する計画だ。