目標達成プロセスにAIを活用、未来予測型の経営判断を導く

人工知能(AI)により、目標未達になる見通しの場合にアラートを出して、対応策を複数提示する。各策を講じた際の効果も示すことで、データに基づく経営判断を支援するという

アクセンチュアは今月7日、「AI Powered Management Cockpit」の本格展開を開始した。この経営判断支援ソリューションは、さまざまな経営指標を一元的に可視化し、AIによる目標達成予測と、それに基づく対策シミュレーションを提示することで、次に取るべき経営の意思決定を支援する。例えば、欠品や過剰在庫といった指標でリスクを検知した場合、追加発注や倉庫間移動、売値変更などの対応策をAIが提示する。

市場動向やサプライチェーンの情報など、まだ顕在化していないリスクも踏まえた効果のシミュレーションも提示する。AIの提案と違うアクションを取る場合、それによる売り上げや利益率、在庫状況など各指標への影響を確認しながら意思決定することもできる。決定された経営判断は、接続先の基幹システムを通して関係各所とリアルタイムに連携され、シームレスなアクションにつなげることが可能だという。

メガネブランドJINSを運営するジンズでは、経営状況の可視化とサプライチェーンの強化、業務負荷の削減を実現する。経験則ベースのリスク検知と需給対応から、AI×人による未来予測型の経営判断へとシフト――試験期間中、欠品による売り逃しを約65%削減(粗利ベース19年比)、廃棄ロスの約10%削減(除却・評価損含む同年比)にもつながった。試験結果を踏まえ、同日より本格運用が開始されている。

意思決定の結果を蓄積していくことで、継続的な予測精度の向上と提案の高度化につながるという。アクセンチュアは、同ソリューションについて、機能拡張によりサステナビリティ関連など非財務指標も含めた企業価値シミュレーションへと昇華させ、多彩な業界に導入していく考えだ。