自治体DX、流域治水に洪水予測データを利活用する

近ごろ頻発する洪水被害は、世界的に対策が望まれる重大災害の一つだ。日本では、気候変動適応計画の中で、国および地方公共団体、企業、住民を含む全関係者が協働して、流域全体で水害を軽減させる治水対策「流域治水」を推進し、ハード・ソフト一体の防災・減災対策を進めること――

それが重要だとされている(環境省PDF)。堤防やダムの建設を主としたハード対策に合わせて、予測の部分の精度を高めたソフト対策が強く求められる中、新たな流域治水システムを一層活用し、様々な先進的ソフト対策に挑戦することで、被害の軽減をめざすという。JAXAは、東京大学生産技術研究所名古屋大学大学院工学研究科あいおいニッセイ同和損保長野県と、「予測データ活用型流域治水」をテーマに、共同研究を行っている。

平時の治水対策と有事の水害対策を統合した流域治水の実現に向け、洪水予測データを表示する仕組みの提供と、予測情報の社会実装による効果、洪水予測の精度向上・高度化等についての共同研究を、JST未来社会創造事業「顕在化する社会課題の解決」領域の支援を受けて昨年10月より実施している。研究成果の第一弾として構築した「長野県庁職員向けcmap」を今年1月より同県庁で検証する。

Today's Earth-Japan(TE-J)の最大30時間以上先までの洪水予測データを、リアルタイム被害予測ウェブサイトcmapに追加し上記仕組みを築いた。5者は、予測データ活用型流域治水について、各種流域治水対策に洪水予測を取り入れてリードタイムを創出し、平時・緊急時の行動計画に反映させ、QoL(生活の質)向上に資するものであり、長野県DX戦略に基づく取り組みの一環だという。

上記実証での成果を基に各地で防災・減災への貢献を目指す。JAXAは、日本全国にTE-Jを活用した流域治水パッケージを展開し、海外の連携先とも国際協力研究を進めていく構えだ。