貿易決済DX、世界初の新たな仕組みづくりに向けて

貨物と代金の交換を行う貿易取引では、貨物を代替するB/L(船荷証券)と代金の交換が行われてきた。海外取引の場合、輸出者と輸入者は離れていて、B/Lと代金を同時交換できず、債務不履行に備えた銀行・保険・ファクタリング等によるリスクヘッジ費用が必要になる。

近年、日本国内では電子B/Lを認めるよう法改正を求め、諸外国においてもB/L等の電子化のための法整備を行う動きがある。また、デジタル通貨に関する議論も進んでいて、中国やカンボジアなどではCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実用化に向けた動きが活発化している。電子B/Lとデジタル通貨が国際的に普及すれば、双方を同時に交換できる可能性が生まれるという。

東京海上日動NTTデータスタンデージトレードワルツは、21年8月~12月、新たな貿易決済の仕組みの実現に向けた実証実験を行った。ブロックチェーン技術を活用し、貿易プラットフォームで電子化された「B/L」と「デジタル通貨(または暗号資産)」の同時移転が可能であることを確認した。この結果を踏まえ、電子B/Lとデジタル通貨(または暗号資産)を同時に交換する世界で初めての仕組みの実用化を目指す。

B/Lや保険証券、インボイス等を電子化する貿易プラットフォーム(TradeWaltz®)と複数のブロックチェーンを連携する相互接続技術をNTTデータが提供し、暗号資産の移転技術をスタンデージが提供した。今回の実証は複数企業が参加・協力、松尾産業ウィル・ビーなどが実用化に向けた具体的な助言したことで、事業化への確証を得られた。

「国際売買のリスクの除去」「輸出入者の貿易コスト低減」「中小企業の貿易取引の活発化」「貿易の平易化」といった効果が期待できる。電子B/Lとデジタル通貨を同時に交換する新たな仕組みについて、'23年度中の事業化に向けて取り組み、企業間の安心・安全な貿易取引を支援していくという。