工事現場DX、VR×360°ライブ映像にて遠隔同時参加

各種デジタル技術を用いて現場をリモート管理する取り組みが活発化している。従来のウェブカメラは画角が限定的で、遠隔から現場全体の状況を把握し難かったという。

鹿島とリコーは、今年5月から国交省北陸地方整備局発注の大河津分水路新第二床固改築Ⅰ期工事において「リコーバーチャルワークプレイス」で遠隔現場管理を行っている。そして今回、遠隔臨場のさらなる高度化に向け、当該システムに「RICOH THETA」「RICOH Live Streaming API」を適用――VR空間内のコミュニケーションを360°ライブ映像で行える機能を追加し、複数人がいつでも遠隔から同時参加できる環境を構築した。

鹿島本社の一角に同システムの設備一式を常設し、上記工事の360°ライブ映像配信ブースを設けた。これにより、いつでも東京から新潟の現場に入り込んで即座に状況が確認できるようになった。360°カメラの設置現場を増やすことで、本社から様々な現場の遠隔パトロールなどが実施可能になるという。同システムを用いて、鋼殻ケーソンの遠隔製品検査も実施している。

上記工事用の鋼殻ケーソンは北九州の工場で製造されていて、これまではその外観検査のため工事関係者全員が現地に赴く必要があった。今回しかし、360°カメラとウェブカメラを持った社員1名が現地訪問。他の関係者は検査に遠隔参加した。ライブ配信による遠隔検査は特段の支障なく完了し、移動時間の短縮、関係者のスケジュール調整手間の削減など、生産性の大幅アップを実現した。

遠隔巡視・立会等、同システムの建設現場へのさらなる展開を推進するため、必要な実施手順を整備する。と同時に設備の耐久性やシステムの操作性を改善していくという。両社は、メタバースの時代を見据え、遠隔臨場の高度化を一層追求し、移動時間の最小化と意思決定の高速化による生産性の高い建設現場モデルを構築していく構えだ。