物流DX、次世代型AGVにて入出荷作業の生産性アップへ

日本では労働人口の減少が続いている。一方で国内の物流量は増加傾向にあり、物流倉庫などの作業現場では慢性的な人手不足が大きな課題となっている。

そのような状況の改善に向けて、ロボットの活用を促進――物流現場の生産性向上に役立つさまざまな仕組みの開発・商用化を進めているという。NECは今月17日、入出荷作業の生産性アップを実現する次世代型AGV(自動搬送ロボット)を活用したソリューションを開発したと発表。今後、物流会社などとの実証実験を行い、来年3月までに同ソリューションの商用化を達成する計画だという。

次世代型AGVソリューションは、複数ロボットの一括制御を実現するとともに、通信遅延がある場合でも高い制御精度を実現する。倉庫に設置したカメラの映像やセンサー情報を集約し、複数ロボットをまとめて制御できる。ネットワークで生じる遅延の変動を予測し、その結果に基づきロボットをコントロールする「適応遠隔制御技術」を用いて制御精度を向上させている。

倉庫内の状況をリアルタイムに俯瞰して把握することで、時々刻々とレイアウトが変化する現場での搬送や、人との協調作業を具現化する。今後は道迷い回避や障害物回避などインテリジェンス機能も搭載予定だという。同ソリューションで活用する協調搬送ロボットは、自在輪が付いているユニットロード(荷物搬送機器)を、人のサポート無しに2台のロボットで挟み込む形で保持し、事前設定された位置まで搬送してそこに留置する。

従来のAGVは搬送時にユニットロードをロボットに載せたり、治具で掴んだりすることが求められ、ユニットロードの形が変化すれば新たな治具を開発、あるいはAGV形状に合わせたユニットロードの開発などが必要だったが、同社が商用化を目指す、上記ソリューションにおける次世代型AGV「協調搬送ロボット」は、多様な形状のカゴ車や平台車等を、人の介助なしに自動搬送するという。