物流センター在庫の配置を最適化する、アルゴリズムの高速化も

電子商取引(EC)需要が急拡大している。昨今、それに伴い日本各地の物流センターで出荷量が増加している。そこで物流拠点の高度自動化を加速し、生産性向上を図るため、積極的に現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進している。

原則一つのオーダーに対して無駄のないひと箱で受け取れるような出荷形態をとっているが、これまでの仕組みでは、全国9ヶ所の物流センターをまたぎ在庫している商品の影響で、複数の物流センターからの出荷により複数個口で届けざるを得ない場合もある。業界でいう"個口別れ"において、荷物を受け取る顧客の手間はもちろん、複数センターからの遠距離配送による配送費の増大も課題になっているという。

アスクルは今月1日、電気通信大学およびタイムインターメディアとともに、生物の進化等を模した最適化手法すなわちAI分野における進化計算(遺伝的アルゴリズム)の手法を用いて、物流センターの在庫配置最適化アルゴリズム開発を行う実証実験を開始した。2019年より協働しているアスクルと電気通信大学が在庫配置に関する最適化アルゴリズムを研究開発し、タイムインターメディアは同アルゴリズムの高速化の実現に取り組むという。

物流センターの在庫容量や出荷能力、各商品の在庫量、膨大な出荷実績データなどを進化計算により最適化することで、商品ごとの適切な在庫配置を算出でき、各物流センターの在庫量を抑制し最適な配置とすることが可能になる。ビッグデータを対象とする在庫配置最適化の実現に不可欠な進化計算の高速化をタイムインターメディアが推進――。個口割れの低減、遠距離配送費の削減、在庫量抑制、配送効率アップが実現するという。

3者は、実証実験期間(3ヶ月)終了後にも引き続き効果検証を行い、2022年7月までに全国九つの物流センターにおける在庫配置を常に最適化し続けるシステムの開発を目指していく考えだ。