福祉介護型MaaS、送迎計画の自動立案とオンデマンド送迎を具現化

2007年に超高齢社会となった日本では、その後も高齢者率が右肩上がりで、高齢者の単身・夫婦のみ世帯が増加している。各地で運転免許証の自主返納が進んでいたり、公共交通機関の利用がためらわれたりそもそもなかったり、移動の際にマイカーの代替手段が無いことが課題となっている。

外出頻度の低下とともに、社会参加の機会が減り、身体や脳の機能低下による要介護リスクや認知症リスクの高まりも懸念される。これらの事情および状況を背景として、昨今、高齢者や要介護者の状況に応じたきめ細かな送迎時のノウハウを持つ通所介護施設の送迎サービスを、高齢者や要介護者の日常の移動支援に活用する新しい移動サービスの実現が期待されているという。

群馬県高崎市を中心に介護関連事業を展開するMWS日高、ICTを活用した介護予防・介護改善に取り組むソーシャルアクション機構、および日立は今月15日、日常生活で必要な移動手段が確保できない移動制約者への、オンデマンド移動サービスの提供に向け、福祉・介護型MaaSの実証実験を開始した。

まず今回、ソーシャルアクション機構と日立は「日高在宅療養支援センター デイサービス」において、組合せ最適化を実現する計算手法を活用し、送迎計画の高速自動立案を行う。自動立案した送迎計画表に基づく送迎業務や、当日発生する利用者や職員の増減に対する再計画業務の実用性の検証を3者で実施していく。次に、移動制約者からの乗車要求に応じて送迎中の車両とのマッチングを行う――

オンデマンド送迎の仕組み――MWS日高での介護ノウハウを取り入れ高齢者でも操作しやすいUIを採用し、同機構が開発するモバイルアプリでいつでもどこでも配車依頼が可能――を新たに開発し、高崎市内のMWS日高の介護施設にてサービスの実証を行う。その効果検証を行い、介護業界のDX促進に向け、新たな交通サービス基盤を実現し、全国への展開をめざす考えだ。