ヘルスケアDX、コロナ陰性証明やワクチン接種履歴を手ぶらで提示

新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種や検査が普及している。日本でも同接種歴や陰性証明を活用した行動制限の緩和が模索されていて、安心空間を実現する仕組みが求められているが、いま国内で発行されるそれらはほとんど紙媒体であり――

証明書の偽造や"なりすまし"等のリスクが指摘されている。感染の有無を調べる検査についても、機器や手法などの違いから検査精度にバラつきが生じることが課題として報告されているという。鹿島日立H.U.グループホールディングス九州大学電通は、同感染症の検査結果やワクチン接種履歴を手ぶらで提示できる、公開型生体認証技術PBIによる新たなデジタルヘルス証明の実現に向けて、共同実証を開始した。

9月27日~10月6日には鹿島の「赤坂Kタワー」にて、協力に同意した同社従業員にワクチン接種履歴などの事前登録から検査の実施、デジタルヘルス証明発行、オフィス入館までの一連の技術検証して有効性を確認した。次回の実証では、政府VRSとのデータ連携や、国際的な「スマートヘルスカード」に準拠したデータ仕様の実装を予定し、範囲をオフィスビル以外の場所に広げることも検討していく。

実証参加者は個人健康記録アプリ「ウィズウェルネス®」をダウンロードし、検査予約やワクチン接種履歴の登録を行う。陰性証明は検査結果と九大病院の医師が「医'sアシスト®」で行う問診で総合判定し、同アプリに診断結果を通知することで、デジタルヘルス証明として発行される。参加者の同意を得たのち、日立の非接触型指静脈認証装置C-1で情報登録し、同アプリで管理されている情報と連携。入室時に指を装置にかざすだけで認証できる。

紙やスマートデバイスによる本人確認や証明書提示は不要となる。以後は、With&Beyondコロナ社会において安心な空間を実現するためのデジタルヘルス証明playbookを策定する予定だという。