タクシー業務DX、ホットスポット・イベント需要等の予測をAIにて

できるタクシードライバーは雑誌『ぴあ』を愛読している。その心は、コンサートなどのイベント情報が満載されていて、高需要の発生を容易かつ正確に推測できるから――。古巣を辞めてタクシードライバーになると決めた先輩にそんな鼻向けの言葉を贈ったが、今はその雑誌すらない。

さまざまな社会的課題や経営課題をIT活用によって解決していく、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代となった。コロナウイルス禍であらゆることのDXが急務となっている。今月18日、国際自動車は、株主として参画しているS.RIDEを通して、ソニーグループ提供の需要予測サービス(AIイニシアティブス・ソーシャルアジェンダのひとつ)について、東京都内のkmグループのタクシー60台にて実証実験を開始する。

同サービスは、ソニーグループのAI技術を活用し、都内10,000台超のタクシー車両の走行データを基に開発されたしくみであり、車内の乗務員用タブレットを通じて効率的な走行ルートの決定を支援する。「需要予測」では500m四方ごとの需要のヒートマップや、高需要スポットを表示し、「おすすめルート表示」では、お客さんの降車後にドライバーが得意な営業エリアに向かう際などに、需要が高いスポットを経由するルートを提案する。

電車の運休・遅延情報、大型イベント終了など、タクシー需要が急激に高まることを即時知らせる「特需発生通知」、局地的な大雨を読む「天候予測」、S.RIDEが保有する空車タクシー情報を地図上に表示し、需要に対する供給状況をリアルタイムに提示する「空車動態表示」といった機能も備えている。

需要予測サービスの活用によって、コロナ禍の厳しい営業環境においても、お客さまとタクシー車両を効率的にマッチングすることで実車率の向上を目指すという。同社及びkmグループは、タクシードライバー未経験者も安心して業務ができる環境を提供していく構えだ。