地方交通DX、高精度測位でバス運賃を自動計算・スマホで区間精算も

その県内の距離区間制を採用するバスでは、整理券方式による支払いは現金か回数券だけとなっている。そこでバス事業者が交通系ICカード払いに対応しようとすれば、システムの初期導入・維持管理のためのコストが多く発生することとなる。

整理券方式による運賃支払いに馴染めない訪日客が再び増えるだろう。これから、アフターコロナを見据えたキャッシュレス化は喫緊の課題だという。

KDDI徳島バスジェノバアクアビットスパイラルズの4社は、日本で初めて(KDDI、ジェノバ調べ)、高精度GNSS測位によりバスの位置情報から運賃を自動計算し、近距離無線通信(NFC)プレートへスマートフォンをかざして区間精算する実証実験を今月15日~来年1月31日に行う。地方交通のキャッシュレス化によるデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指し、鳴門郵便局前バス停~鳴門公園バス停区間で行う。

今回の実証実験は、徳島県鳴門市の鳴門公園を中心とした観光エリアで提供する「くるくるなるとデジタル周遊チケット」の取り組みにおける「バス スマホタッチ支払い」(利用方法紹介動画:YouTube)サービスで実施する。事前にクレジットカード(デビットカード、各種プリペイドカードも利用可)を登録、NFCプレートにスマホをかざす、もしくはQRコードを読み込むだけで、バス乗車区間を判定し、運賃の自動計算とバス運賃の支払いが可能となる。

乗客は従来現金オンリーだった対象区間において運賃キャッシュレス払いができ、シームレスで簡単な移動を楽しめる。今回の仕組みは交通系ICカード導入よりも初期・維持コストが低く抑えられ、地方のバス事業者のキャッシュレス化に貢献するという。各社は、新たな通信技術などを活用した徳島県内交通機関のDX化に取り組み、地域社会インフラの持続的成長プロジェクトを推進していく。本件に関連する特許はKDDIが出願予定とのことだ。