コーヒー栽培に衛星画像を活用、気候変動を緩和しSDGsに貢献する

世界のコーヒーの推定市場規模(生豆取引額)は現在およそ300億ドル。地球温暖化が進行すれば、アラビカコーヒーの生産適地は2050年までに50%減少する可能性がある。既存生産地のモニタリングニーズは拡大していくだろう。

気候変動による栽培環境の変化や新型コロナウイルス禍の影響により、コーヒー栽培においても、遠隔地から農園の情報を把握できる衛星リモートセンシング技術の活用ニーズが高まっている。コーヒー生豆は国際的に取引されている最も高価な農作物の一つであることから、生産に関わるリスクを迅速に把握することが特に重要になる。加えて、コーヒー栽培に必要なシェードツリー(強い日差しからコーヒーノキを守る植栽木)の存在により――

生物多様性保全やCO2吸収が期待できるなど、コーヒー栽培は気候変動の緩和に寄与する側面もあるという。UCC国際航業は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が実施する令和3年度「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」に共同で応募し、「衛星画像によるコーヒー農園の営農支援と気候変動緩和ポテンシャルの評価」(同局Webの概要PDF資料)が採択されたことを今月3日に公表した。

コーヒーベルトにおいてSDGs8・12・13・15・17に貢献する。今回の実証では、ブルーマウンテンコーヒー直営農園(ジャマイカ)ハワイコナコーヒー直営農園を対象として、コーヒーノキの生育診断指標と気候変動緩和指標を開発し、気候変動リスクの管理と持続可能な調達を実現――。UCCはその成果を、営農支援や「UCCグループの責任ある調達原則」に基づく現地確認、地球温暖化による生産適地減少箇所の予測等に展開することを目指す。

両社は、現地政府や大規模生産者へ国際航業の空間測量技術を用いた同実証ベースのコンサルティングを提供し、持続可能なコーヒー産業の発展に貢献していく構えだ。