社債・CP市場業務のペーパーレス化と作業効率アップに向けて

低金利を背景に企業が社債による資金調達を積極化している。2020年度の一般債の口座残高は17年度の257兆円から約20兆円増えて277兆円、過去最高であった。20年度のCPの口座残高は約20兆円だったことから、社債とCPの口座残高は計300兆円に迫る勢いであった。

一方で、発行体と各金融機関との間で行う社債・CP市場業務は、長年の市場慣行/定着形である「原紙、押印、郵送、FAX」によって行われている。2006年施行の一般債振替制度により、証券保管振替機構に関わる部分は電子化されたものの、その外枠の業務の多くは依然として紙で行われている。こうした紙ベースの作業は非効率かつ相応の時間を要するだけでなく、コロナ禍におけるテレワークの妨げになっているという。

JIPNTTデータNTTデータビジネスブレインズは6月26日、社債・CP市場業務すなわち社債とCP(コマーシャルペーパー・短期社債)の発行・管理業務を迅速化・ペーパーレス化する会員制クラウドサービス「evidence.path™」の構築を始めた。来年2月めどのサービス開始時点では、会員管理・電子印鑑・電子帳票配信の機能を提供し、その後に、電子契約機能などをリリース予定である。

発行体(事業法人、自治体)と取引先である金融機関が契約書や帳票をFAXや郵送で授受する場合が多く、迅速な発行や新常態の普及を阻害しているところで、上記新サービスでは、発行体と主要金融機関をインターネットで結び、市場業務で必要となる各種情報をクラウド上で授受できるようにする。3社はサービス開発を進めるとともに、会員の獲得を目指す。

開始5年後までにメガバンク3行を含む主要金融機関と1000社の発行体の参加を目標としている。「evidence.path」はコミュニケーション機能等も順次追加し、発行体と金融機関を結ぶ市場業務の情報基盤として発展させていく構えだ。