大空を行き水中で働く合体ドローンにて、養殖や水域作業をスマート化

水産養殖や水域インフラの点検分野においても、人手不足が深刻な問題となっている。昨今、水中ドローンの需要が高まっているが、従来型のそれを作業支援にあてる際には、点検場所まで船を出す必要がある――

東京久栄の今年1月講演(水中ドローン未来予想図)によると、潜水士の数は2017年3,300人、27年には2,900人に減少する。また、内閣府「我が国の水産業の現状と課題」によれば漁業就業者数は03年の23.8万人から16年には16万人に減少。水域インフラについて、国交省・経産省「ICT、データ活用等による戦略的なインフラメンテナンス等」で要点検施設は10%(17年)から58%(33年)に増加が予想されているという。

KDDIKDDI総合研究所プロドローンは、ダム・港湾設備点検や水産漁場監視などにおける省人化と安全確保を目的として、点検場所まで自律飛行する空中ドローンに、映像伝送および音波での測位が可能な水中ドローンを搭載した「水空合体ドローン」を世界で初めて(KDDI研究所調べ)開発し、5月31日に技術実証を完了した。

「空中ドローン(親機)に水中ドローン(子機)を搭載した合体型のドローン」、「スマートドローンプラットフォームを活用したタブレットでのドローン遠隔操作で、飛行、着水、分離、潜航、浮上、回収、帰還といった一連の動作を制御」、「水中の子機の位置をKDDI総合研究所独自の音響計測技術で正確に測定」、「水中子機からの映像をリアルタイムで操作者へ伝送」といった特長を備えた。

船を出すことなく、点検場所まで自律飛行し、着水後に水中ドローンを分離し、リモート点検を可能とする。湖沼・海中作業などの分野で、ドローンの新たな市場の創出が期待される。同機体を「ジャパンドローン2021」で披露する。3社は、2021年度中に各用途に応じた実証を行い、22年度商用化に向け開発を進めていくという。