医療DX、画像データの真正性にメスを入れる研究はじまる

65歳以上の人の割合が全人口の2割を超える。超高齢社会となったこの国では、患者増と医師不足という2つの課題に対する、医療の効率化、ヘルスケア分野も含めてのデジタル化は急を要する。新型コロナウイルス禍をきっかけに、時限的かつ特例的ではあるが、オンライン診療が実施されつつある。

対面診療よりも正しい情報伝達が難しいという。オンライン診療では、デジタルデバイス上の画質改善が求められている。医学・医療において患者の状態等を正確に把握するためには、画像・映像などのデジタルデータは、美しさや綺麗さが優れていることよりも、色や質感表現などの品質管理が重要である。判断の間違い、診断の不正確さの要因にならない技術、そして画像・映像データの真正性を担保する仕組みやガイドラインの確立が不可欠である。

5Gや光通信などの高速大容量通信サービスの普及により、4K・8K高精細映像による情報共有が進み、デジタル視覚データそのものをAI試料として活用できるようになる。こうした取り組みは、医学・医療にとどまらず、Society5.0の実現をめざす多様な分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる、その社会実装が求められているという。

凸版印刷順天堂大学は、医学・医療に用いる、画像や映像などのデータの記録/伝送/共有手法を標準化し、医療・医学領域の情報資源として広く活用できる基盤の整備・構築を目標として、6月1日に共同で「救急AI色画像情報標準化講座」を順天堂大学浦安病院に開設する。同講座における研究は、日本救急医学会の「救急AI推薦研究」に採択された「AI活用に向けた、画像・映像デジタルデータ品質について」の一部となっている。

カラーマネジメントシステム(CMS)技術と、多くの救急医療情報を活用し、正しい画像・映像情報を伝えるプロトコルの標準化基盤を構築、そしてその臨床的応用を目指していくという。