農業DX、スマホの天気アプリで家畜のヒートストレス度を予測する

熱環境の変化(暑熱・寒冷)は家畜の生産性に大きな影響を与える。気候変動が激しくなった日本では近年、高温による家畜の斃死(へいし)や生産性の低下が深刻な問題となっている。畜産経営を左右する、熱環境の制御は、畜産農家における基本的事項のひとつだが――

暑熱・寒冷対策は、多く経営者の勘や体感に依存している。旧来のアナログ手法が、生産性低下を招く一因だったという。ウェザーニューズ北里大学獣医学部 動物飼育管理学研究室、同大学発ベンチャーのライブストックジャパンは、家畜の生産性に影響する気象変化を高精度で予測し、暑熱・寒冷ストレスのリスクを表示するシステム"ちくさん天気"を開発。その無償トライアルサービスを、半年程度の予定で4月27日に開始した。

スマホアプリ「ウェザーニュース」(Google Play/ App Store)の法人向けサービスとして提供される。同システムでは、家畜の種別(乳用牛/肉用牛/子牛/豚/鶏)と地点を選択すると、ユーザー専用のページが表示され、過去24時間と24時間先までのTHI値(実績値・予測値)と、THI値の週間予報が確認できる。設定した家畜の種別に合わせて、THI値に応じたストレス度合いを色別で表示し、対策が必要な日や時間がひと目でわかる。

上記専用ページはアプリのメイン画面「マイ天気」に表示されるため、アプリを起動してすぐにアクセスできる。新サービスは、家畜の飼料作物の栽培や作業管理に役立つ雨雲レーダー、雨雲アラーム、5分ごとの天気予報など「ウェザーニュース」アプリの全機能も利用可能。北里大学獣医学部の家畜生産技術に関する基礎研究成果をもとに、生産現場のニーズに応え、WNIの気象データ及び気象予測技術を活用して開発されている。

暑熱・寒冷ストレスによる生産性低下の軽減が期待できるという。"ちくさん天気"の試用は、ライブストックジャパンWebから始められる。