すると、既存の計算機で高速に解くことが困難となる。そのため、組合せ最適化の専用計算機の開発が国内外で活発に行われている。そこで当社は、独自の量子コンピュータ理論から生まれ、全く新しい原理で組合せ最適化問題を解くシミュレーテッド分岐アルゴリズムを発表。しかし従来、同アルゴリズム搭載機では、取り扱い可能な組合せ最適化問題のサイズが、計算処理用集積回路(計算チップ)のメモリ容量に制限されてしまっていたという。
東芝は今月12日、効率的な金融取引、配送ルート計画など、様々な社会課題に現れる組合せ最適化問題を解く、世界最速の組合せ最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン™」(19年4月ニュース、21年2月ニュース)の計算速度と規模の両方を向上するスケールアウト――サーバーや計算チップの増設に従いシステム全体の処理能力が高まる――技術を開発したことを発表した。
複数のチップを接続し、各チップが分散協調して処理を行うことで、計算速度・規模(取扱い可能な最大問題サイズ)を向上した。全結合型組合せ最適化計算機において世界で初めてスケールアウト性を実証した(同社調べ)。たとえばチップを8つ連結したシミュレーテッド分岐マシン™は、シングルチップ実装のものよりも速度が5倍、規模が16倍となる。
膨大な銘柄数の金融取引や複数のロボットの協調制御など、従来困難だった高速・低遅延性と規模拡張の両立を要する用途で活用することにより、一層大規模で複雑な社会課題解決への貢献が期待されるという。新開発技術の成果は、「Nature Electronics」に掲載された。