インフラ保守DX、特別な計測器・手順無しに設備の健全度を見える化

技能労働者の大幅な不足が懸念されている。日本ではICT(情報通信技術)施工を国交省が推進していて、直轄工事におけるその実施率は16年の36%から3年後に約8割へと飛躍した。昨今は建設業界全体にICTの高度利用が広がりつつある。

i-Constructionの進展が見られる一方で、社会資本の老朽化も進んでいて、道路施設・上下水道設備・公共施設等の保守業務や熟練技術者のノウハウ継承でのICT活用が急務となっている。一部のインフラ維持管理業務では、車載カメラ(路面測定車両)やドローンを用いた点検などで効率化が進められているが、施設や設備によっては車両が通行できなかったり、ドローンが飛ばせなかったりして、ICTの活用が難しい場合もある。

個々の社会資本においては異常状態を示すデータが少なく、ビックデータ分析での損傷・健全度予測が困難だったという。日立システムズは、社会インフラなども含む施設・設備を管理する団体向けに「CYDEEN劣化要因分析支援サービス」を販売する。同サービスは、顧客が蓄積した点検・補修業務の維持管理データを、クラウド基盤上のAIを活用した独自手法で分析することにより、対象となる施設・設備の劣化状態を可視化する。

これにより、点検・補修箇所の見落とし防止を図り、優先順位付けなどを効率化する。ICT活用が難しかった施設や設備でも、分析のために新たな計測機器を導入する必要はなく、従来の運用手順を変える必要もないため、一時経費と運用コストの両方を抑えることが可能だという。

同社は、日立製作所が開発したデータ分析技術を基にし、 東京大学III/GSII社会連携講座「情報技術によるインフラ高度化」にて評価された上記サービスの提供により、点検・補修計画の工数削減と損傷・健全度予測精度の向上を図ることで、製造業も含む顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援していく考えだ。