5Gとデジタルツインにて建設プロジェクトDX

高速・大容量通信を可能とする、第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが全国に広がりつつある。昨今、産業・社会インフラ分野においては、リアルなデータ駆動型のしくみ、現実空間を仮想空間に再現する「デジタルツイン」技術が注目されていて、それと5Gとの併用なども期待されている。

世界が持続可能な開発目標に向かってまい進している。今日、日本では国連SDGsGoal7にあたるクリーンエネルギーにて鉄道が運行されている――。信濃川水系にあるその発電所では、発電機や水車を支える設備等を取り替え中である。大規模工事の施工段階では鉄道会社が構造物の寸法や鉄筋の種類・位置が設計図通りかなどの品質確認を行う。そこで現在、オフィスから工事現場への移動と確認作業に時間を要しているという。

JR東日本ソフトバンクは、建設工事のリモート監督業務の実現に向けて、JR東日本の水力発電所――千手発電所(新潟県十日町市)の大規模取替工事において、5Gとデジタルツインを活用した実証実験を今夏頃から開始する。

今回の実証実験においては、建設現場で画像や点群(物体の表面の位置や形状を計測し、3次元に表現するための点の集合体)データを取得し、現地状況を仮想空間に再現するデジタルツインを活用して、オフィスなどの遠隔地で品質確認などの業務を行う。画像や点群データの取得にはドローンなどのさまざまなツールを活用し、人手に頼らないデータの取得・確認手法を検討する。

取得したデータの伝送には高速・大容量通信などの特長を持つ次世代通信規格5Gを活用することで、遠隔地から工事の状況をリアルタイムに把握できるようにするという。両社は、建設工事における働き方改革を推進することを目的に、さまざまなプロジェクトに上記実証実験の結果を水平展開することで、建設プロジェクトのDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現していく考えだ。