その課題に取り組むわけが説明できる、教育用AIを開発する

文部科学省「GIGAスクール構想」にて児童・生徒一人一台の端末整備が加速。テスト等をコンピュータで実施するCBT(Computer Based Testing)など、データを蓄積できる環境も整ってきたことから、それらのデータを生かすための人工知能(AI)活用の研究も始まっている。

学校教育現場ではしかし、AIが解析したデータに学習者が納得できなければ、主体的な意欲を引き出せない。AI活用には課題があるという。京都大学学術情報メディアセンターの緒方広明教授と、内田洋行教育総合研究所は、NEDOの「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」について、今月より本格的に実証研究を開始する。

単に問題が自動的に提示されるだけではなく、学習者がより納得して課題に取り組めたり、先生が児童生徒のつまずきを把握して適切な指導を行えるよう、より学習・指導に有効な分析データを導き出す「説明できるAI」の開発を行うほか、京都市教育委員会と連携してその実証研究を行うことを内容とする5か年計画を作成――。これがNEDOに採択(参照:同機構PDF資料)され、9月11日に委託契約を締結したという。

上記委託事業の実証研究では、京都大学緒方研究室によって独自に開発されたデジタル教材配信システム(e-Bookリーダー)のBookRollと分析ツールLAViewで構成されるラーニングアナリティクスシステム「LEAFシステム」を基盤に、学習行動から説明生成を行うAIエンジン「EXAIT」を開発して搭載する。

システムの効果測定は、京都市教育委員会と連携して学校現場で行う。内田洋行が同現場で学習者が利用しやすいシステム構築と学習データの管理・抽出を行い、京都大学学術情報メディアセンターと共同して、データに基づく学習効果を検証する。実証研究は、2020年度内に京都市内の学校で開始予定とのことだ。