OSSをベースに固定電話網を仮想ネットワーク化する

2024年1月から1年間で「固定電話」が完全にIP網に切り替わる。その準備段階として、21年1月より、国内事業者間の接続に使用する回線交換方式(回線を占有する通信方式で、交換機等の専用設備必要)は、順次IP対応が行われていく予定である。

開発者の確保や専用設備の継続的な開発が課題となっていて、段階的にIP相互接続(事業者間のIP接続、加入者交換機のIP網接続、他事業者発「固定電話」着のIP接続)されていくという。KDDINECは今月20日、固定通話の国内事業者間のIP相互接続への移行に向け、柔軟性や信頼性の高いオープンソースソフトウェア(OSS)を利用した仮想ネットワーク管理機能 (VNFM) を開発した。

OpenStackの「Tacker」をもとに、IP相互接続化に伴い導入する、さまざまな仮想ネットワーク機能(VNF)の管理や制御、構成変更を自動で行うしくみを開発――。「共通的で柔軟なインターフェースによりVNFをネットワークに接続することが容易となり、迅速なサービス提供が可能」、「Tackerはネットワーク仮想化の現実的な課題の解決に継続的に取り組んでおり、商用機能開発へ有効活用が可能」

「公開された場で多くの開発者に貢献、評価、監査されるため、信頼性が高く、安定した運用が可能」といった特長を備えたVNFMを具現化した。両社の成果はOpenStackコミュニティに還元し、Tackerの発展に役立てていく。OSSの発展には利用者と開発者の双方の協力が重要であり、同コミュニティは、Tacker利用者である通信事業者のユースケースを重視しているという。

KDDIはユースケースをコミュニティに提供し、そのユースケースを受けて商用開発経験のあるNECが商用導入可能な機能として開発を行うことで、通信事業者の要望をソフトウェアに反映させ、これからもコミュニティの発展に寄与していく構えだ。