RDE規制に対応したアプリで自動車開発を加速する

CASE(コネクテッド、自動運転、シェア、電動化)が合言葉になり、MaaS(移動手段のサービス化)の実証が進むなどして、次世代技術やトレンドが続々と登場・発展しつつある。自動車業界では昨今、非常に厳しい排ガス規制の導入や、その将来的な展開への対応も迫られている。

路上走行時の排ガスを測定するRDE規制(参考資料:自動車技術会PDF)は、世界的な環境規制強化を背景に'17年にヨーロッパで施行され、今後も各国で導入拡大が見込まれている。複雑な試験要件が課されていて、自動車業界における開発期間の長期化および開発コストの増加が懸念されている。車両開発の現場は、次世代技術・トレンドへの対応を含め、多くの課題に直面しているという。

HORIBAは、同社独自の計測アルゴリズム「トルクマッチング法」と計測機器・ソフトウェアを最適に組み合わせ、車両の路上走行試験を試験室内で高精度に再現する――RDE規制に対応する新アプリケーション「RDE+」を9月28日より国内向けに本格展開する。RDE+はシャシダイナモメーター、自動運転システム、車載型排ガス測定装置などをデータマネジメントシステムで統合管理する。

路上走行における勾配や風向き、路面状況といった多様な要素の再現で手間と時間とコストがかかっていた。従来手法におけるそれら複雑な環境条件を省き、車速とアクセルペダル開度に着目した、トルクマッチング法(特許出願済み)は、高精度に路上走行試験を再現でき、エンジン単体での路上走行試験の再現も可能とする。

米国フロスト&サリバンの試算によると、「RDE+」の全アプリケーション導入は、試作車両製作コストの低減(最大75%)などに貢献し、新車開発プロジェクトあたり最大18億円のコスト削減の可能性があるという。HORIBAは今後、車両開発の初期設計段階から仮想環境で走行試験を行うアプリケーションの展開も予定している。