ヒットチャートを学んだAI、未来の人気楽曲を予測する

デジタル技術の発達に伴い、ストリーミングや動画配信サービスなど音楽の楽しみ方が多様化している。そこで、音楽に対する人間の反応を科学的に把握するために「楽曲チャートデータ」と「脳情報通信技術」を融合させる共同研究開発プロジェクトを昨年9月から行ってきた――

NTTデータNTTデータ経営研究所阪神コンテンツリンクは、人間の脳活動を推定する技術「NeuroAI」と、総合楽曲チャート「Billboard JAPAN HOT100」のデータを組み合わせた共同研究において、昨年12月~今年5月にチャートインした2185曲を対象に、楽曲を聴いた際の推定脳活動・音色の特徴、歌詞、コード進行や過去のチャート情報等の特徴を利用した結果、次の技術開発に成功した。

① 楽曲の脳情報化による新たな特徴の獲得(脳情報化された楽曲特徴の類似性が評価可能に)
② ヒットソングの特徴の可視化(「ヒットの要因」を脳情報や歌詞・コード進行などの楽曲特徴から把握)
③ 未来の音楽トレンド予測(どんな楽曲がトレンドとなるのか4か月程度先まで予測)

これにより、どのような特徴を備えた楽曲がトレンドとなっているのか、そしてこれからどうなるのかの定量的な評価が可能となり、思いもよらないヒットソングが突然現れる今日のマーケットへの適応が期待されるという。「ストリーミング」「ダウンロード」「CDセールス」など8種類の指標を組み合わせた総合楽曲チャートを構成する多様なデータと、脳科学×AIによる動画広告効果の予測が既存機械学習に優越することなどを示した技術とを融合した。

3社は、所属アーティストの躍進を目指すレコード会社などに向けてアーティストの発掘・育成やマーケティングの支援、ストリーミング事業社などへはチャートデータや脳情報を基にしたプレイリストの制作支援を行うなど、新たなサービスのトライアル提供を今月より実施していく構えだ。