乗客の安全担保技術とともに中型バスを自動運転、びわ湖岸をゆく

情報通信技術が日々進化している。それとともにコネクテッドカーやMaaS、自動運転車両の研究と実用化が加速していて、さまざまな人や地域において安全安心かつ便利な移動手段やサービス、次世代交通基盤の実証が進められている。

交通事故の削減や高齢者の移動手段の確保等に資するものとして、'18年度まで小型自動運転バスの実証を産総研に委託して行っていた経産省と国交省は、今年度、中型自動運転バスによる実証実験すなわち公共移動サービスの事業化に向けた検証を進める。そしてアイシン精機は8月27日、この取り組みにおけるバス運行事業者として選定された滋賀県大津市、および京阪バスの実証実験に参画することを発表した。

9月27日まで、大津駅~びわ湖大津プリンスホテルの湖岸ルートにて、「転倒リスク通知システム」を実装した中型自動運転バスを運行し、技術の有効性や地域でのサービス受容性を検証する。プロジェクトのなかで、同社は、車内カメラで乗客の身体能力を推定し、転倒リスクが高い乗客の乗車を監視者(車掌)へ知らせる同システムの技術開発を担っている。

独自の「身体能力推定技術」と、アジラ社のAI――人の骨格を認識して同一乗客をトラッキングする技術とを組み合わせることで、乗客ごとに、バスに乗り込む際の動作特徴を数値化し、転倒リスクを判定する。この融合技術によって、高齢者や障がい者など転倒の不安を抱える人々にとっても安心して乗車できる自動運転バスの普及に貢献する。

「身体能力推定技術」にはアイシンが強みとする画像認識技術を応用していて、今回、乗り込み動作から身体能力を推定する手法開発を愛知県立大学、転倒リスクを判定する基準づくりを京都橘大学と共同する。上記実証実験では、身体能力データに基づき、ユーザー(乗客)にあった地域イベント情報を提供するなど、地域活性化につながるデータの活用に向けた基礎データ収集も行っていく考えだ。