再エネの発電~消費、ブロックチェーンでリアルタイム管理

脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギー(再エネ)による電力の需要が高まっている。同電力は安定的な供給が難しいうえに、発電量と消費量がリアルタイムに管理されて取引できる仕組みが整っておらず、有効活用がしにくいといった側面もあるという。

リコーは、社会全体の再エネ活用の加速に貢献するため、暗号資産インフラ等にも使われているブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いた電力取引管理システムを開発。今月21日より、リコーリースの発電施設が発電した再エネ由来の電力を、神奈川県海老名市の「RICOH Future House」や静岡県御殿場市の「リコー環境事業開発センター」で仮想的に消費し、その発電量や消費量をリアルタイムにトラッキングする。

実証実験で、安定稼働の実現に必要な要件や対策、課題抽出を行う。バイオマス・風力発電施設の追加も予定している、上記システムでは、各拠点に設けた計測装置で発電量と消費量をリアルタイムに把握し、ブロックチェーンで拠点間の発電量の過不足を可視化する。これにより、小売電気事業者が安心して電力を融通できる環境を構築。天候等に左右される再エネ電力のリスク分散と安定供給が可能になる――。

発電量や消費量が改ざんされることなく第三者が検証可能な形で記録される。今回のシステムでは、限られた事業者のみが関わるコンソーシアムブロックチェーンを活用することで、不特定多数相手のパブリックブロックチェーンで必要となるデータの確認プロセスや運用コストを削減し、エビデンス(証書)の生成コストを大幅に下げられる効果が期待できる。

ブロックチェーンに記録されたデータを証書の代わりとして用いられれば、再エネ利用コストの大幅ダウンにつながるだろうという。リコーは、低コストで誰もが再エネを扱えるしくみの実現に向けて、パートナー企業との連携を強めつつ実験規模を拡充していく考えだ。