営業列車で沿線の映像解析、支障物を自動検知する

少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化する中、鉄道業界でも検査業務の省力化が喫緊の課題になっているという。

NECは今月22日、鉄道総研が開発した線路周辺画像解析エンジン(技術解説資料:鉄道総研3月25日ニュースリリースPDF)の活用により、鉄道の沿線検査業務を支援する「列車巡視支援システム」を実用化したことを発表。同システムは先行して、JR九州が運用する811系近郊型電車の2編成を対象に今年4月から運用開始していて、他の車両にも拡張を予定している。

鉄道業界において、営業車で撮影した映像に画像解析を適用し、支障物を自動検知することによる列車巡視業務効率化の実用化は国内初だという。「列車巡視支援システム」は、車上に設置するカメラやGPS、ネットワーク機器のほか、解析サーバや映像を配信する表示サーバなどのICT機器の提供に加え、導入に必要なシステム設計・構築までNECが一貫して提供するものだ。

営業列車の車両先頭に設けたステレオカメラを用いて、走行時に撮影した線路の沿線環境の映像を解析し、建築限界の支障有無を自動判定可能な画像解析を活用している。国交省の鉄道技術開発費補助金(参照PDF)を受けてその一部が開発された上記エンジンを活かした、今回の列車巡視支援システム実用化により、従来職員が目視で行っていた巡視業務をサポートし、効率的かつより安全安心なメンテナンスが可能となる。

巡視点検日時をあらかじめ指定するだけで、無線ネットワークを通じて自動的に路線映像を取得・解析し、支障を検知した場所の画像を自動整理してレポート作成。職員が目視確認後に手入力で行なっていた作業を大幅に削減できるという。NECは、今後も業務効率化・高度化するソリューションの開発・提供に取り組むことで、新たな価値を生み出す「NEC Value Chain Innovation」を顧客と共に実現していく構えだ。